購入した当初は高価な買い物であったのに、座面のカバーが古くなってきたり、座り心地がイマイチとなってきたりすると、つい新しいものに買い替えたくなります。
しかし、安易に安価な椅子を購入するくらいならば、高価な買い物であった椅子の張替えをする方がよほどお買い得。安価な家具は、耐久性に大いに問題があるうえ、使い勝手も悪く、さらに飽きが来るのも早いものです。
「安物買いの銭失い」は、あらゆるモノに共通します。古くなった椅子も、張替えによってよみがえらせて、さらに大事に使ってあげましょう。
本日の張替え例の主役は、ナガノインテリアのダイニングチェアです。
1946年創業のナガノインテリアが作り出す家具は、和というコンセプトのもと、無垢の木材を使った飽きのこないデザインが有名。
今回は、座面の革の張替えと摩耗してしまったウレタンの補充です。
張替えに使用したのは、ニューソフトです。
そえでは、お客様のところからお預かりした際の張替え前のダイニングチェアをご覧ください。
椅子のフォルムの美しさはさすがナガノインテリア、気品ある姿です。しかし、座面の部分をよく見ると革がたるんでしまっています。 近づいてみてみると、革のひび割れもかなり気になります。 座面の部分を取り外し、 革を取り外すと、中のウレタンもかなり硬化し、へたってしまっています。 ウレタンも交換しなければいけない状態なので、ウレタンクッションを交換するためクッションも剥がしていきます。 つぎは、新しく張替える革を裁断します。 革に引いた型取り線に沿って裁断していきます。 裁断後です。落ち着いた色合いですね。椅子の無垢材にも部屋のインテリアにも合うニュートラルカラーです。 この革をていねいに縫製し、 座面に張っていきます。 座面の裏側もきれいに処理を施します。 生地を張り込んだ座面を椅子のフレームにもう一度取り付けます。 張替え後のダイニングチェア、納品時の様子です。 背もたれの部分も美しい無垢材につやを出し、このように生まれ変わりました! 横からのフォルム。日本人の体形と生活スタイルに合った美しい椅子。 深い色合いの木材部分、ウレタンが補充され張り替えられた座面の部分、新品以上に味のある仕上がりではないでしょうか?! 海外にも名のある家具のメーカーはたくさんありますが、日本の職人芸、木材、そして家屋のありかたを意識した国内のメーカーは、日本の風土に合った美を誇ります。海外のメーカーの家具は、一般的にその存在感とパワーが魅力ですが、メイド・イン・ジャパンはあくまで繊細でたおやかさがあるのが特徴といえるかもしれません。 なにより、私たち日本人のために設計された椅子、使い勝手の良さでは一頭地を抜いているといって過言ではありません。飽きのこないデザインですから、木材の部分、ウレタン、カバーも大事にお手入れして、家族の団欒の場で長く長くご愛用ください。