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私たちの生活の中で欠かせない椅子やソファ。

もはや、これらがない生活は考えられないほど、椅子に座るという行為は日常生活の一部となっています。ネットの普及によって、椅子に座る時間は1日の60%を占めるとまでいわれています。

椅子やソファは、実は人類の文明とともに誕生し発展してきた歴史があります。きょうは、そんな椅子やソファの歴史をご紹介いたしましょう。

 

  • 正座の文化の日本にも椅子は存在した

歴史画像2床几に座る徳川家康像

 

椅子の文化を語るときには、日本は除外されると思っている方も多いかもしれません。

実際には、奈良時代までは人々は椅子のある生活をしていたことがわかっています。これは、当時の国際情勢を反映して、日本が大陸の影響を受けていたためといわれています。

また、戦国時代には武将たちが戦を行う時に「床几」と呼ばれる折り畳み式の椅子を用いていました。戦国武将の肖像画などで、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。

畳の文化であった日本が一気に西洋化するのは、戦後もだいぶたってからです。現在の日本では、正座を苦手とする人が多いほど椅子の文化が定着しました。

 

  • 現在の椅子の原型は古代エジプト時代

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 14世紀のフランス王ジャン2世が使用している「セラクルリス」

 

現代の私たちが使用している椅子の原型は、古代エジプトの遺跡にみることができます。もっとも古いものは、紀元前7世紀にさかのぼるといわれています。実際には、もっと古くから椅子は存在していたことはまちがいないようです。

王家の谷から発見された椅子は黒檀や象牙など貴重な素材で作られていて、これらはもちろん王をはじめとする貴族階級が使用していていました。また、ライオンの爪が装飾としてほどこされていることも多く、まさに王者のシンボルといった趣でしょうか。

今では誰もが使用している椅子ですが、古代から中世にかけて1人掛けの椅子は権威の象徴とされてきました。たとえば、古代ローマ時代には「セラクルリス」とよばれるXの形状をした椅子が存在していました。これは、法的な権力を持つ人物の実が使用できる椅子とされていたのです。この伝統はその後も引き継がれて、英国王の肖像画の脇にこの椅子が描かれていることもあります。たかが椅子といえども侮れません。この椅子は、神聖な力や統治権、裁判権を象徴することもあったわけです。

そもそも、家具自体が少なかった時代においては椅子も財産となりうる立派な貴重品であったのでしょう。

 

  • 権力者は1人掛け、庶民はベンチ型

 

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 イタリアのラヴェンナに残る大司教の椅子

 

西洋の境界を見れば一目瞭然ですが、有力な聖職者は教会内でも1人掛けを使用していました。いっぽう、ミサに参加する庶民は非常にシンプルなベンチ型の椅子に腰かけるのが常でした。当然のことながら、庶民用のベンチ型の椅子は固く座り心地もよいとはいえませんでした。

庶民の椅子に洗練が欠けていたのは、中世のフランスでも同じです。フランスに残る「バン」という名の椅子は、非常にどっしりとしたつくりで移動が難しく、もっぱら暖炉の前に置かれっぱなしであったというエピソードもあります。権力者が据わる椅子の多くが移動可能であったこととは対照的ですね。

 

  • 15世紀に生まれた近代的な椅子

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ナポリの博物館に残るルネサンス時代の椅子のデザイン

 

いっぽう、庶民も自宅で椅子を楽しめるようになるのは15世紀に入ってからといわれています。

現在も、欧州の各地にはこの当時の椅子を製造する工房がいくつか存在しています。たとえば、花の都と称されたイタリアのフィレンツェでは、絶大な経済力を背景に椅子を製造する際の技術も発展していきました。当時最も普及したタイプは、古代の「セラクルリス」とアラブの椅子を融合させたタイプであったといわれています。

これらの椅子には、聖職者の名前をとって「サヴォナローラ風」とか、文学者の名前を冠して「ダンテ風」と呼ばれています。

現在も、このルネッサンスの趣のある椅子を愛する人が多く、アンティークの市場でも人気なのだとか。

 

  • 多様化した近代の椅子

 

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18世紀後半に、英国を中心に起こったのが産業革命です。これによって、さまざまなモノが大量生産される時代に突入しました。

椅子ももちろん、そのひとつです。技術の革新も著しく、さまざまなカテゴリーの椅子が登場するようになりました。

アメリカの政治家ベンジャミン・フランクリンが考案したといわれる「ロッキング・チェア」、1927年にオランダ人建築家マルト・スタムによって世に出た「カンチレバー・チェア」、屋外で楽しむために作られた簡易的な椅子「デッキチェア」、近代的な技術を駆使して「リクライニングチェア」などなど、枚挙にいとまがありません。

 

  • ソファの原型も古代に!

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 古代ギリシア時代に宴会で使用された椅子

 

ソファこそ近代に生まれたものを思いがちですが、実はこちらもその起源は古代にあります。

歴史学者によれば、ソファは古代アラブのスルタンが玉座として使用していたものが最初というのが有力説のようです。固い椅子にクッションや生地を配置することで、快適さは急上昇しました。

とはいえ、古代ローマでは宴会の際にソファのような形状の椅子に寝そべって食べたり飲んだりしゃべったりするのが常識であったことは有名です。現代のわれわれは、1人掛けのソファよりも数人掛けのものを選ぶ傾向が強いといわれています。これはやはり、居間に「集う」という概念があるためですが、古代ローマからこの傾向は同じであったことが興味深いですね。

古代ローマのソファは上流階級の特権で、奴隷や女性は使用できなかったようですが。

 

  • 「ソファ」という言葉が生まれたのは18世紀!

 

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固い椅子が常識であったルネッサンスの時代にも、生活に余裕のある人は柔らかい布を椅子に置いたりして快適さを保っていたようです。また、背もたれやアームが計算された椅子も、工房ではたくさん作られていました。

しかし、近代的なソファの誕生は18世紀を待たなくてはなりません。「ソファ」という言葉は、アラブ語の「ṣuffah」から派生しているといわれています。連結された椅子のような形状のソファは、1716年にフランスに登場しました。背中の部分だけが人数分に別れていて、座面と脚は共有されているソファ、われわれから見ると非常にシンプルな家具ですが当時は革新的な発明であったのです。

当時、ソファを発明したフランス人の頭の中にあったのは、オスマン帝国がフランス国内に構えていた邸宅や事務所のサロンであったそうです。そこは、マットレスやクッション、そしてカーペットがふんだんに使われた空間が広がっていて、多くの人が快適に集えるようになっていました。

2人以上が快適に座れる長い椅子がソファと呼ばれるようになったのも、アラブのこうした文化が影響を受けているためなのだそうです。

 

  • 王様たちも夢中になったソファ

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こうして誕生したソファは、当時のフランスの王様ルイ15世を夢中にさせました。クラシカルに装飾されたソファは、ヴェルサイユ宮殿内に飾られるようになったのです。この傾向は、マリー・アントワネットの夫であったルイ16世の時代も変わらず、当時のソファのすばらしさは現代においても何度かコピーされて高級ホテルに設置されるほどです。。

まもなく、このソファの文化はイギリスにも到達。初期に登場したのが、「チェスターフィールド」と呼ばれるソファでした。ボタンでキルティングされた高い背もたれが特徴のこのソファ、現在まで続くロングセラーといってよいでしょう。

 

  • 産業革命後に庶民にも普及していったソファ

椅子と同様、ソファもある時期までは富裕層のシンボルでした。

ソファが社会の下層部にまで浸透していくきっかけとなったのは、これまた産業革命です。もちろん、王様のソファとは異なり、無用な装飾を廃したシンプルなソファが大量生産される時代になって初めて、一般庶民もソファを楽しめるようになったわけです。

私たちの時代におけるソファは、テレビ文化の普及もあってまさに生活の中心になりました。家族や親しい人が集うシーンの中心には、居心地の良いソファがあります。

人類の偉大なる遺産ともいってよい椅子やソファ、家族と大事な時を刻むパートナーとして大切にしていただきたいものです。

 

 

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