こんばんは、今日は木製の椅子をお預かりして、座面の生地を本革で張り替えさせて頂きました。
本革の表面の仕上げの違いを、椅子の張り替え事例を交えてご紹介いたしますので、
これから本革で張り替えを検討している方は、是非参考にして頂けると嬉しいです。
今回お預かりさせていただいた椅子の張り替え詳細はこちらになります。 【椅子ブランド】 不明 【モデル名】 不明 【現状生地】モケット 【張り替え生地】本革 セミアニリン/KIRA キラ 【生地メーカー】 メルセン 【ご依頼地域】東京都世田谷区 【スタッフ感想】今回はモケット系の起毛生地から本革へ張り替えさせて頂きました。 張り替え自体は椅子張りの技術の中でも、それほど難しいものでは無いので、DIY好きな方など 是非一度ご自宅でもチャレンジしてみては如何でしょうか。 まずは張替え前の椅子の状態ですが、こちらになります。 ≪張替え前≫ あられ組でくまれた木のフレームに深緑の生地が張られた椅子で、背凭れの木の形状が特徴的ですよね。 張り替え前の生地は色が薄くなってしまっている事と、汚れもあって少し古びた感じになってしまっていますので、今回の張り替えで奇麗な状態にして印象を変えていきたいです。 フレームはまだまだしっかりしているので、生地を張り替えてあげたら、これからも何の問題も無く使っていただけると思います。 今回張替えに選んで頂いたのは、セミアニリン仕上げの本革生地。 シボもナチュラルな感じで、セミアニリンなので革の表面にも透明感が感じられますね🐄 本革への張替えの際には、顔料仕上げ、染料仕上げ、その中間のセミアニリン仕上げ、又は生成りの物と大きく分けて4種類ほどあるので、その仕上げの感じも考慮して革を選んであげると良いかと思いますよ。 〖顔料仕上〗 顔料で仕上がった革は、染料などで仕上がった革に比べて、経年変化を楽しむという点や表面の透明感などは無くなってしまい、染料仕上げの革などと並べると表面はノッペリとした印象ですが、その反面そういった革よりも表面の擦れ傷に強かったり、紫外線による変色や退色などにもある程度強くなります。 そして、表面の顔料は殆どの場合ウレタン塗料で、顔料の厚さにもよりますが吸水性も他の種類の革に比べて低いので、水染みなどにはなりにくいです。 型押しでハッキリしたシボ(シワ目)を加工出来たり、顔料で色々な色を塗装出来たりするメリットもあります。 強度最優先! という方には顔料仕上げの革をお勧めします。 (顔料仕上げの革サンプル一例) 〖染料仕上げの革〗 染料で仕上がった革の中でもアニリンレザーと呼ばれる、合成染料で仕上げのしてある革が椅子やソファーでは使われることが殆どかと思います。(草木の自然染料で染めたものがボタニカルレザーとなります) アニリンレザーは簡単にいうと顔料仕上げと反対の効果が出て、退色などしやすく、傷もつきやすく、シミへの対抗性も強くない革になります。 ですが、顔料仕上げに比べて革の素の状態を保っていて、経年変化をしていくので、より革らしい革ということになります。 エイジングを楽しみたい、というかたにはお勧めの革になります。 (染料仕上げの革サンプル一例) 〖染料に顔料を塗装して仕上げている革〗 セミアニリンレザーは、染料仕上げのよいところ革の透明感などをある程度残しつつも顔料で表面を塗装しているので、顔料と染料仕上げの中間の革になります。 そのため、紫外線や染みなどにたいする対抗は「やや弱い」ということになります。 革らしい透明感もほしいけど、染料だけの仕上げほど表面が強くないのはちょっと。。 という方には良いかと思います。 (セミアニリンレザーの革サンプル一例) 〖生成りの革〗 生成りの革は、まさに革そのもので、染色や塗装などの色着けはされておらず、製品になる「革」の前の「皮」の表情がほぼそのままです。 製品になる前の皮の状態から、通常は動物に付いた皮膚の傷などを処理してから革という製品にするのですが、 その傷なども残っているので、より自然な革なのが特徴です。 経年で飴色に変化していったりと本格的にエイジングを楽しみたい方はこの生成りの革をお勧めしますが、 その分、飲みこぼしや皮脂などシミになり易かったり、かなりデリケートな革なので、メンテナンスはこまめに行ってあげる必要があります。 (生成りの革サンプル一例) 椅子やソファーに使われる革の事をお話ししましたが、どの革が良い革というと一長一短あり、好みの問題もあり一概には言えないので、この内容を参考にして、自身の環境や好みにあわせて選んでみては如何でしょうか^^ さて今回のセミアニリンレザーで張り替えた椅子ですが、張り替え中と張替え後の状態はこちらになります。 フレームから外した座面は、留めてあるステープルを取り外して生地を剥がしていきます。 そして本革で張り替えた座面がこちら。 布と革ではやはり雰囲気変わってきますね^^ 裏側も張替え前と同じように、ステープルでしっかり止めて完成です。 張り替え前にあった汚れや色の薄れも解消されて、奇麗になりましたね。 この様に、椅子やソファーの生地を布から本革へ異素材へと変えると、部屋の雰囲気も変わるかと思いますので是非ご検討してみてはどうでしょうか。 ファニチャーリペアテーブル (東京) 03-6869-4017 (千葉) 0470-62-6361 Mail:contact@tableinc.net
・・・本革の仕上げの違いと特徴・・・