ソファや椅子の張替えというと、張り替える生地はレザーやファブリックなどというイメージが強いかと思いますが、実際には、色々なタイプの椅子やソファの張り替えに対応しています。
今回の張替え修理は、ラタンシートの椅子の張替えです。
籐の椅子は、家庭内だけではなくお店などでもよく目にする機会があるかと思います。
ラタンは自然な風合いや雰囲気を醸し出して、何か懐かしい感じも受けるような素材かと思います。
ただ籐の椅子も当然、月日とともに劣化し不具合が生じます。
今回ご依頼いただいた籐椅子は、椅子の常で座面部分の籐(ラタン)のシートが破れてしまい劣化がひどくなりました。
こちらが、張り替え前の籐椅子です。
座面の籐の部分、破けてしまっています。 座面は籐の部分だけですので、これに穴が開くと椅子としての役割を果たせなくなってしまいます。 そこで、籐の座面を張り替えることになりました。 フレームの部分も擦れ傷などがありますが、今回は座面のシートだけ張替えを致します☆ 張替えに使用するラタンのシートの種類ですが、一口に籐のシートと言っても、籐の編み方にも幾つか種類があります。 カゴメ(籠目)編み、四ツ目編み、目積編みなどの種類があり、網目の大小も使用する家具によって異なってきます。 三分籠目、五分籠目などなど、名称も変わってきます。 今回ご依頼いただいた籐椅子の場合は、オリジナルに忠実に五分籠目で張り替えることになりました。 古い籐をはがして、木材部分をきれいにしていきます。 完全に籐の座面をはがしたところです。 そしてここからラタンのシートにちょっとした手間を加えて、五分籠目のラタンシートを座面に張っていきます。 よぶんな部分は裁断して、形を整えていきます。 そして、淵の処理も終えて張り替えの完成です。 新しい籐の色と張り、すがすがしいですね。 濃い木目の部分ともよいコントラストになっていますが、今回張替えたシートは生成り色なので、今後使い続けていくことで、皮脂や焼けによって色が変色していき椅子に馴染んでくるかと思います。 籐椅子は、レザーやファブリックを使用した椅子と比べるとやはり少しデリケート。 籐そのものは非常に強い材質なのですが、なにしろウレタンのクッションがないために籐の部分が破けてしまうと一気に破損が進んでしまいます。 破れや傷みが発生すると、廃棄されてしまいことも少なくありません。 しかし、修理の技術は皆さんが想像されるよりもずっと多岐にわたります。 コロナ禍によって、サステナビリティという概念が急速に広がりつつあります。 椅子やソファの傷みや破損がある程度ひどくても、修理をしてモノを大事に使うというコンセプトが、今後更に広まっていくと良いかと思います。 籐の椅子のメリットはなんといっても軽くて通気性が良いところ。高温多湿の日本の気候に適した素材だと思っています。 エスニック風を演出できる点もラタンのいいところかと思います。 みなさんのご自宅にラタンチェアがあった場合、劣化や破損もあきらめることなくご相談頂ければと思います^^