デザインの洗練が光るヨーロッパの家具に憧れる方も多いと思います。 一口にヨーロッパといっても、お国柄によって生産される家具の特徴も異なります。北欧産の商品は、雑貨やキッチングッズだけではなく家具の分野でも日本で人気があります。 今回は北欧の家具の特徴や、代表的なブランドについてご紹介していきたいと思います。 北欧で育つ木々は、寒さに耐えて成長したため家具に向く強靭性を備えていると言われます。 自然を愛する北欧の人々は、これらの木材を活用して「北欧家具」と呼ばれるカテゴリーを生み出すほど突出した質の家具を生産しているのです。 外は極寒でも暖房の設備は完備している北欧では、自然に家で過ごす時間が長くなります。その生活スタイルに合わせて、長時間使用しても体に負担がない機能性がまず特徴に挙げられます。 また、流行を追わない国民性に合わせて、家具はケアを施しつつ大事に使うスタイルが主流だという側面もあるようで、家具自体の耐久性も優れています。 そしてなによりも、極められたシンプルさが、北欧家具独特の美を醸し出していると思います。 ナチュラル志向の方にとっては非常に魅力的な要素が、北欧の椅子やソファには詰まっているのかもしれないですね。 北欧の国といえば、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドなどがそれにあたりますが、これらの国々に代表される椅子やソファのブランドをご紹介させて頂きたいと思います。 ・デンマーク 古典的な職人技を主役に製造されるJ.Lモラーの家具は、1944年にデザイナー兼家具職人のニールス・O・モラーによって生まれました。代表格である椅子は、デンマークのデザイン性と技術の凝縮といわれ、世界中で愛されています。 同社の最大の特徴は、工場内に組み立てラインが存在しないことのようです。 つまり、原木の選択からあらゆる工程において伝統的な手作業で施工されているのです。 原料となる木材は、水分が5%以下になるまで徹底的に乾燥されるため、経年によるゆがみやがたつきが起こらないという椅子を生み出しているようです。 http://www.jlm.dk/ モダンで近代的なイメージのある北欧家具のブランドの中では老舗に属すアイラーセン。創業は1895年、創業者のニールス・アイラーセンは馬車を作る職人だったようです。 その名残は、ブランドのロゴとなって残っていて、馬車の車輪の製造のため、蒸気で木材を曲げる技術に長けていた彼はその後バスや自動車の製造業で成功します。 戦後に、それらの技術を活用して家具を作り出したアイラーセンは、非常なスピードでワールドワイドな競争力を発揮し、北欧きってのラグジュアリーブランドとして名をはせる同社、とくに北欧らしい風格のソファが日本でも有名ですね。 日本でも特に人気の高いデンマークのブランド「カール・ハンセン&サン」。 1908年に創業し、1950年代に発表したYチェアによって国際的な知名度を獲得しました。北欧の空気の中にたたずむ優しい色とフォルムには、ほっとするような温かさが込められています。モダンな空間にもレトロなインテリアにもなじむ柔軟性が人気の秘訣かもしれません。 https://www.carlhansen.com/ja-jp ・ノルウェー ノルウェーのデザイン・イコンと呼ばれている「シエスタ」。現在はヤッラ社から販売されているシエスタは、1965年にデザイナーであるイングマール・レリングによって考案されロングセラーとなっています。1966年にデザイン賞を受賞し、ノルウェー家具の代表として産業の成長に大きく寄与した椅子です。国際的にも「シエスタ」の名は浸透し、世界中の博物館に収められています。 人類が生み出した、椅子という技術の最高峰を極めたといってもよい普遍の美と座り心地を誇っているともいわれます。 私も何度か腰を掛けたことがありますが、確かに座り心地は抜群に良いですし、シエスタに使われている革の質感なんかも、触れてみるともっちりして気持ちいいですよね^^ https://hjelle.no/product/siesta-classic/ 「スカンジナビアン・モダン」の真髄を感じることができるパーソナルチェアといえば「モーディ」があります。 極寒の長い夜をモーディの椅子にくつろいで過ごしても、体とチェアが一体化したような感覚が生まれるのがこのブランドの特徴のようです。 北欧家具の中でも座り心地の良さでは一頭地を抜く評判を持つのが「エコーネス」です。1934年に創業、1971年に販売を開始した「ストレスレスチェア」が爆発的な人気となり、卓越した技術をソファにも生かしてその地位を確立しました。テレビが生活の中に普及していく中でエコーネスも大きく成長したようです。 ストレスレスシリーズはソファやパーソナルチェアがあるほか、近年は電動で背もたれを操作できるシリーズも人気です。ソファは体格が異なる各国の顧客に合わせてサイズの選択も可能。 感性に訴えるところが大きいイメージのある北欧家具の中で、エコーネスは盤石の技術力をベースとしているのが最大の強みです。 https://www.stressless.com/en エコーネスのさらに詳しい情報についてはこちらの記事をどうぞ。 https://tableinc.net/furniture/diary/9232 ・スウェーデン 1883年にスウェーデンに生まれた「ヤシネス」は、いかにも北欧ブランドらしく家具作りもエコロジカルなサイクルを重要視すべしというモットーを掲げています。 私たちが北欧家具と聞いて頭に浮かべる木目の美しい家具、遊び心のあるポップな要素が込められたソファは、ヤシネスの手によるものが多いかも知れません。 北欧インテリアの巨匠といわれるオーケ・アクセルソンが手掛けるヤシネスだけに、公共の場でもよく目にします。ホテルのロビーや美術館でも同社の家具はおなじみで、日本のスウェーデン大使館の家具もヤシネスのものが採用されてるようです。 1969年に生まれたブランド「イノヴェーター」は、1脚チェア「スタンス」が爆発的なヒットしたことによって世に出たブランドです。 世界中のデザイン賞を受賞した「スタンス」を発端に、イノヴェーターはシンプルな北欧デザインのルールは守りながらほどよい遊び心が人気の理由といえるでしょう。職人技が光る北欧ブランドの中では、若々しさがきらりと光るブランドです。 https://innovator.gr.jp/shopping.php?id=Top ・フィンランド 日本でも人気のムーミンやマリメッコの故郷フィンランドを代表する家具ブランド、それが「アルテック」です。「アート」と「テクノロジー」の2語から生まれたブランド名が示すように、北欧モダンという言葉がよく似合う洗練を特徴としています。1935年に若手のデザイナー4人が興した同社、枯れることのないスタイリッシュなデザインは国際的にもよく知られています。 北欧の良質な木材の美しさを最大限に引き出すブランド「ニカリ」。 1967年、当時の経済成長に逆行するように、家具を丁寧に作り上げることにこだわり続けています。 高い機能性と芸術性は、木材の美しさによって支えられていることが一目瞭然。この普遍の美は日本の家屋にもマッチすることを確信し、日本人の永野智士氏が生産と販売のライセンスを獲得したようです。 http://www.n-mfg.com/nikari.html 如何でしたでしょうか。 北欧のソファや椅子と聞いて、ネガティブなイメージを思い浮かべる人はほとんどいないのではないでしょうか。 スタイリッシュな先進国であり福祉も行き届いた社会を誇る北欧の国々、そこで生まれたナチュラルで温かみのある家具たち。 日本でも沢山の人気を誇る北欧のソファや椅子があるかと思いますが、今回はその一部をご紹介してみました。 今後北欧の椅子やソファを買おうとするときに、少しでもお役に立てればと思います♬