スイス北部の小さな町を拠点にしたソファブランド「デセデ」。 ファミリービジネスの規模であった時代から、卓越した革の上質感が一流のデザイナーや世界のセレブたちの心をとらえてきました。 フォルムよりもその革の質感による存在を誇示するデセデのソファ、ソファを扱う仕事をしているものとしては気分も高揚します。 今回は、スイスのソファブランド「デセデ」についてご紹介いたします。 欧州において馬具は王侯貴族たちの必須アイテムであり、各地の馬具工房では優秀な職人を抱えて顧客の要望に応えてきた歴史があります。高名なファッションブランドも、馬具製造が発端となったというエピソードを持つこともしばしば。 実際、今回ご紹介するブランド「デセデ」は、ソファをはじめとする家具のほかにバッグなどのアクセサリーも手掛けています。 スイス北部の小さな町クリングナウにあるデセデも、本来は馬具の製造をなりわいとしていました。いかにも山の民らしい堅固さで職人たちによって守られてきた技術が、世界を瞠目させる上質な革を生み出す根源でした。 デセデが、本格的にソファのブランドとして世に出たのは1965年のことです。ただし、ソファの基本となる革の質を落とさないために、規模はあくまで家族経営の域を出ませんでした。しかし、その製品の質の高さはまもなくソファの業界の中で注目を浴びるようになります。一流のデザイナーもその質に惹かれ、ソファのデザインのために名乗り出るようになりました。いかにもスイスらしい頑固なまでの質への固執に加え、洗練されたラインも手に入れたデセデ、国際的なブランド力を有するようになるまで時間はかかりませんでした。 現在では高級な革のソファといえばまちがいなく名前が上がるほどの名声を得たデセデは、世界69か国に輸出する企業へと成長しました。富裕層が多いアメリカやロシアに加え、近年では中国やブラジルでも需要が急上昇しています。 デセデの看板は、なんといってもソファの形を具現化する革にあり。 歴代の職人たちによって培われてきたデセデの革の技術は、まさに世界でも唯一といわれる独自性も持っています。 また、デセデの職人たちは、ライフスタイルが異なる各国の顧客たちの要望にも柔軟に応えることでも知られているのです。 デセデのポリシーは、技術革新には完結がないことを前提にさらなるレベルを目指す点にあります。もちろん、その中心にいるのは革を扱う職人たち。 年間に生産されるソファは、11000ほどです。そのうちの70%は、スイス国外の顧客たちのもとに届けられます。 従業員が110人まで増えた企業となった今も、職人技を枢軸とした製品の開発と製造は、創業当時から不動なのです。 卓越した職人技だけが生み出せる、重厚感のあるソファのフォルム。 デセデの製品は、いずれもロングセラーの名にふさわしい普遍性を備えています。 その中でも特に、日本国内で人気のラインをご紹介いたしましょう。 ・DS-47 https://www.idc-otsuka.jp/item/products/detail/7725 比類なき荘重感を放つDS-47シリーズ、その理由はソファの革の厚さにあります。なんとその厚さ、5mm!革の縫い目もなく肌理の美しさが目立つ同シリーズは、ソファの世界ではすでに「アート」の扱いになっています。 上質な革ならば当然のことならば、そのボリューム感にもかかわらず座り心地は非常に柔らかく、しなやかな革の発色も芸術的です。 デセデにおいては、このDS-47シリーズのソファはクラシカルという点において右に出るものなしと自他ともに認める逸品。実際に、デセデが世界的に認められるきっかけにもなった記念碑的なシリーズ。ソファの背、座面、アーム部分は1枚革を使用するという奢侈の極みが、セレブに愛される理由でしょう。 ・DS-164 https://www.idc-otsuka.jp/item/products/detail/7621 移動する背もたれという斬新なアイデア、ソファを形作る優美な曲線。 DS-147シリーズのソファは高名なオランダのデザイナー、フーゴ・デ・ロイターによってデザインされました。360度移動する背もたれによって、環境にあわせた変身をするこのソファ、スイス人の技術とオランダ人の遊び心が融合して生まれたといえるかもしれません。保守的なデザインが多かったデセデにとっても、殻を破った画期的なソファです。優しい曲線が典雅で、ソファによって室内の雰囲気が欧州のサロン風になるところが人気の秘密です。 ・DS-31 https://www.desede.ch/en/DS-31 大ぶりなステッチとモダンな脚の部分が特徴的なDS-31シリーズは、デセデのソファの中では最も人気があるラインのひとつ。 重々しく男性的なデザインが多いデセデの中では、軽妙なカジュアル感が富裕層の心をとらえました。日本の家屋のサイズにも違和感なくなじむため、売れ筋のソファラインといって過言ではありません。また、手縫いのステッチがこれまたモダンなアクセントとなっています。近代的なようなレトロのような、不思議な存在感はどんなシチュエーションの室内にも違和感なくマッチします。 また、DS-31シリーズのもう一つの特徴は、アームの配置にあります。音符を思わせる飄逸なフォルムで、時代を超えたオリジナリティを感じます。 本社スイスの公式ホームページのトップを飾っていることでも、DS-31シリーズの人気がよくわかります。 最後に スイス北部の小さな町に起源をもつ世界的なブランド、デセデ。 ソファの革の品質においては随一といわれるほど、革の美しさを活かしたデザインを特徴とするブランドです。デザインよりも先に品質ありきというデセデのポリシーは、ソファの業界においてはかなりユニークといえるかもしれません。しかし、その革の美しさを活かしたデセデのソファには、他の追随を許さない確固たる風格が漂っています。